約130年前、三重県・志摩でミキモトの創業者・御木本幸吉氏が真珠の養殖技術を発明しました。
この技術により、高品質な真珠を安定して生産できるようになり、日本の真珠産業は世界に誇るブランドとして発展しました。

ただし、真珠は自然の中であこや貝が生み出すものです。
その過程ではさまざまな形や表情の真珠が生まれますが、宝飾品として評価されるのはごく一部でした。

日本の真珠業界では長く、「美しい真珠=丸い・キズがない・強い光沢がある」とされ、厳しい品質基準が築かれてきました。
その結果、ブランドとしての信頼性は確立された一方で、基準に満たない真珠──いわゆる“規格外”とされる真珠も多く存在します。

その中には、いびつな形ながらも個性的で特別な輝きを放つ真珠があります。
しかし、形が不揃いなため製品化が難しく、市場では十分に評価されてきませんでした。

「花珠」と呼ばれる完璧な真珠。
個性豊かで愛嬌のあるバロック真珠。
そして、割れや光沢の少ないものまで──それらすべてが自然の恵みであり、真珠の生産物です。

近年、あこや真珠の生産量は減少し、希少性と価格がともに高まっています。
同時に、多様な価値を認める時代が訪れています。
これまでの「丸くて傷のない美しい真珠」という価値と、唯一無二の形を持つバロック真珠の価値。
私たちは、その両方を大切にしていきたいと考えています。

これまで廃棄されがちだったバロックパールを活かすことは、資源を無駄にせず、流通の輪に戻すことでサステナブルな真珠産業につながります。

シズクパールでは、店内で一つひとつの真珠の個性を見極め、形や表情を活かした加工を行っています。
真珠層が均一でないため、キズやくすみが見られる場合もありますが、それらが目立たないように配置やデザインを工夫しています。
自然のままの表情をぜひ写真でご確認のうえ、お選びください。

日本の豊かな海と、そこに息づく技術から生まれた真珠が、皆さまのもとで新たな輝きを放ちますように。